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第34代理事長
戸波 真也

 


基本方針

はじめに
 わが国は戦後63年目を迎え、先人たちの努力の結果、敗戦の復興から始まりこの間一度も戦争をすることなく平和と安定を維持し、世界史上でも希に見る経済的繁栄を実現しました。しかし、この急速な高度成長や経済発展の裏に、公害問題やバブル経済の崩壊などの問題があります。
また、特に最近では、官公庁や政治家の不正、教育現場の崩壊や凄惨な殺人事件、企業倫理の崩壊や拝金主義経営者の台頭などの報道が毎日のようにマスコミをにぎわし、我々視聴者の感覚も麻痺してきています。
過去にも多くの問題はありましたが、日本人はその都度多くの犠牲を払ってきながらも、それぞれの問題を乗り越えてきました。時代背景によって形は違えども、起こりうる問題、それはどんな時代でも乗り越えなければならない壁であると私は考えます。そして、わが国にはその壁を乗り越えられるだけの力は充分にあると信じています。

 

ひとづくりでまちづくり
 全国では教育現場の崩壊など、子どもたちを取り巻く環境は明るいとはいえませんが、幸い宗像地域では、現場の先生方の努力により大きな問題は少ないと認識しています。しかしながら教育とは、親がはじめに教えるべき躾や礼儀などの家庭教育、地域で子どもたちを育てる社会教育、そして学校教育が一体となって初めてしっかりしたものになると言えます。そのためには地域の大人である宗像JCは、教育現場やPTA等と連携を取り、当事者として正面からこの地域の教育の現状をしっかりと把握し、不足する部分などの問題点を解決に導くべく方法を思案し、地域の特性を生かした教育環境を確立する必要があるのではないでしょうか。
また、いじめや自殺、親が子を子が親を手にかけるなど、全国的にマスコミをにぎわしている事件を検証すると、社会環境の変化もさることながら子どもの心の弱さや心の貧しさの原因は家庭教育の欠如にあると考えます。これまでは、家族代々の知恵として受け継がれ、地域の習慣や伝統に根付いたものであった子育ての方法が、近年急激にすすむ核家族化や少子化、地域のつながりの希薄化などにより、うまく伝わらなくなってきているのではないでしょうか。そのためにはJAYCEEも含め、今の親が、まず親の学びの場として親学を策定し、実践することが効果的であると考えます。その実践こそが、自らを変え、子どもを変え、学校、地域を変え、ついには社会をよりよい方向へ変えていくことにつながることと考えます。
この宗像地域は、多くのスポーツクラブなどによる青少年健全育成活動がとても盛んな地域です。また、宗像JCも創立以来数多くの青少年育成事業を行ってきました。わたくしも担当委員長として事業を行うとともに過去の事業の検証をした経験があります。そのときに宗像JCが目指すべき定義を出しました。メンバーが子どもと友達になること、メンバーが子どもから学ぶこと、最後に子どもが将来JCに入りたくなるような事業に努めること、子どもがあこがれるようなJCになることなどです。本年度の宗像少年会議所はあらためてこの定義をしっかり踏まえ、この地域においていわゆるボランティアクラブ、或は道徳クラブとしての存在を確立したいと思います。そうすることでこの地域の子どもたちが世界の平和を希求し、慈しむ心とすべてのものに感謝する気持ちを持ち、思いやりの心あふれ、生きていることのすばらしさを知った、さらにスケールの大きな子どもに育ってほしいと願ってやみません。

 またJCはスケールメリットを生かし、理念を共有して事業を展開する協働運動を全国で実践しています。この中の教育プログラムを積極的に実践することで、地域間で子どもたちの意識の格差を埋めることができ、日本を正しい方向に向ける動きができることと考えます。

 
 

風土を守る宗像人と宗像学
景色とは人の手にかかればすぐにでも変化するものです。風習は人の心により長い月日を経て変化します。しかしこの地に根ざした風土というものは永遠に変わらないものですし、変えてはいけないものだと思います。この地域には誇りうる悠久の歴史や文化がたくさんあります。宗像大社や宮地嶽神社に表れる古代からの歴史やロマン、弘法大師が建立したとされる鎮国寺、漁業農業が盛んで、街道の宿場町としても栄え、健康保険の発祥の地であるとも言われています。
また、出光佐三氏らに代表される多くの偉人も輩出している地域でもあります。その先人たちが守ってきた風土の中に、お互いを思いやる精神文化が充実した人づくりというものがあるのではないでしょうか。古代から神仏のご加護による自然からの授かりを最も大事にしてきたこの地域には、互譲互助すなわち「OMOIYARI」の精神性を重視する文化が根付いているのです。我々は、この地域に生きる青年として先人たちが大切に守ってきたその精神性を宗像学として、そこに生きる人々を宗像人として、この風土を後世に守り伝えていく使命があると考えます。
そのひとつとして、沖ノ島世界遺産登録への運動に対し、行政主体ではなく他地域団体と連携し、本当の市民運動として積極的に参画していく必要があります。この運動を一人でも多くの宗像人、そしてJCのスケールメリットを最大に生かし地域外にも沖ノ島物語を広く発信伝播していくことが、この地域に誇りがもてる愛郷心の醸成に近づく一歩であると考えます。
海と山に囲まれた宗像地域は、先人たちの努力によって美しい環境を保っています。しかし現在、地球の環境は、産業革命以来約400年もの間に変化した人々の風習により悲鳴を上げています。地球環境問題は人類に課せられた最重要かつ至難の課題であるといわれています。それにはさまざまな理由が挙げられるのですが、そのほとんどが乱開発による人為的な理由であることを忘れてはいけません。
快適な暮らしはもちろん必要です。しかし、次世代にしっかりとこのまちこの国この地球を美しいまま残していくことこそが我々現代に生きるものの使命であると考えます。そのために大事なことは個人の意識です。私たちができることは小さなことかもしれませんが、クリーンアップ運動などを通して、この美しい自然環境を守ることが必要だと考えます。そのことを子どもたちとともに実践することで循環型社会が構築されていくことになるでしょう。

 私たちはJAYCEEである前に一人の社会人です。拝金主義の蔓延や企業倫理が崩壊しているといわれる現在において、JCこそが率先して個人の仕事を通じて社会貢献する社会起業家精神を養っていく必要があります。この地に住むすべての人が宗像人としてOMOIYARIの精神性を持ち、宗像学としての社会起業家精神を充分に理解できたときには、どの地域にも負けない風土が自然と出来上がるのではないでしょうか。

 

地域の架け橋として
 我が宗像JCの活動エリアである宗像市、福津市を中心としたこの地域は美しい自然に取り囲まれ、災害や凶悪な事件も少なく、教育環境や、行財政も一定の水準を維持しています。では、このすばらしい宗像地域はいつまでも続くものでしょうか。
全国で道州制の議論が活発化され、新型交付税への移行など地方分権が具体的に進んでいます。もちろん市行政では、充分に議論され、対策や対応をとっているようですが、我々住民にはその先のビジョンがあまり見えてきません。この地域がさらに発展し、この風土を次世代にしっかり残していく為には、行政だけに頼るのではなく、我々市民が自分のまちは自分たちで守るといった意識を持って地域間競争に挑んでいかなければならないと考えます。そのためにも市民自らが国の情報をしっかり受け止め、国が進める政策を把握し、その上で行政区を越え、広域行政としてのまちづくりのビジョンを明確に打ち出す必要があると考えます。宗像市、福津市、および近隣の地域にメンバーを要する宗像JCはそのかけ橋になれるのです。

 我が国の民主政治の進化と発展にとって、首長選挙のあり方は極めて重要な意味を持ちます。首長選択自体の重要性はいうまでもありませんが、その選挙の過程こそが重要です。なぜなら首長選挙は、候補者が提示する地域の理念と政策目標をめぐり、誰もが地域社会のあり方を考える最高の機会であるはずだからです。また、市民の行政への参画意識はこうした経験の上に醸成されます。したがって、市民が民主主義の主人公となるためには、身近な地方選挙、とりわけ首長選挙において、JCが協働運動として実践し、現在注目されているマニフェスト型の選挙で自分たちのリーダーを選び、それを市民自らが検証するマニフェストサイクルを確立する必要があると考えます。

 

恒久的な世界平和を目指して
 青年会議所はJCIに加盟した世界組織の団体です。JCIの目的のひとつに恒久的な世界平和の実現があります。
真の世界平和を目指した国際交流を行う上で、決して切り離せないものに歴史観というものがあります。戦後60年あまりが過ぎ、さまざまな歴史事実が浮き彫りになってきた現在、我々は確かな近現代史を学ぶ必要があります。戦後植え付けられた自虐的価値観ばかりで他国と付き合うのではなく、的確に自分の国のことを知ったうえで交流する必要があると思います。それは決して一方的に主張するだけではなく、これから先、お互いの国の若者同士がどう行動することが世界平和につながるかをしっかりとした対話により、確立する必要があると考えます。そのためには双方が互譲互助(OMOIYARI)の心を持って、相互理解をしていかないと成り立っていくものではありません。現代の国際社会において我々の立ち位置をはっきり定めた民間交流こそが国家間を超えた真の友情を築き、恒久的な世界平和に近づく一歩であると考えます。
宗像JCも国際交流の一環として、韓国の昌原JCと姉妹締結を結んでおり、毎年交流を行っています。今後はこのように相互理解をもって、更なる友情を深めていきたいと思います。

 

魅力ある組織を存続する
 市民意識を変革する上で、魅力ある宗像JCを存続することが必須の条件の一つではないでしょうか。組織を牽引するには、歴史を継承し、やりたい事とやらなければならない事を精査し実行しなければならないと考えます。そのためには会員の意識向上もさることながら、しっかりとしたサポート体制を確立し、スムーズな組織運営が不可欠になってきます。
また、過去先輩方が行ってきた事業は例外なくすばらしいものばかりでしたが、単年度組織制のJCは市民から見ると活動が不明確なところが多かったような気がします。そのためにも我々の事業計画においては、検証可能なLOMマニフェストとし、継続性を持ったJC運動にすることが本当に地域から必要とされる存在になると考えます。

 さらに、JCとは地域に生かされてはじめて存在するものです。JCが行う事業は市民に役立つ事業であるべきですし、それに結びつかない事業は行うべきではないとさえ考えます。そのようなことから本年度の事業は、市民に向けた公開型事業を前提とし、研究や策定したものを効果的に発信し推進することが、本来のJC運動であると確信しています。
 過去多くの先人たちが成功と失敗を繰り返し、問題と解決を何度も繰り返し、現在に至っていると思います。我々人類は歴史をみても数多くの壁を乗り越えてきているのです。だからこそ歴史に学ぶのです。守っていくために変えていかなければならないこと、進化と継承のバランスを保ちながら、メンバーがより地域に密着し活動していくことが今後の宗像JCの存在を確立し、確実な地域貢献につながると考えます。

 

おわりに
 JCの大きな魅力のひとつに信頼できる仲間との出会いがあります。JCには他人のことを本気で思いやるかけがえのない多くの仲間たちがいます。魅力ある場所には人が集まり、魅力ある人には人がついてきます。人の意識を変えるには、まず自らが変わるしかありません。ほんの些細なことを黙って実践し、背中で語れるような男になりたいと思っています。そうすることで自然と魅力があふれ、人が集まるのではないでしょうか。また、自分のことを語れない人に魅力はありません。我々宗像JAYCEEは、自分たちの愛する地域のこと、自分が覚悟を持って活動している組織のことを堂々と人に伝えることができる人、自らに課題を科し、責任を持って活動できる人を目指します。宗像JCはそんな背中を持った“漢たち”の集まりなのです。
我々宗像JCは、愛するわがまちを自分たちで創り、次世代に守り繋げるために責任と覚悟を持って活動していきます。

ノーブレス・オブリージュ・・・責任と覚悟を持って・・・
 
noblesse oblige〔ノーブレス・オブリージュ〕英語・仏語
人にはそれぞれ果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」の意。
新渡戸稲造は「武士道」とは「自己の立場に伴う義務」のことである、と説いています。ここではJCにおける義務と責任を自覚し、覚悟を持って活動しようとするものです。
 
事業計画

(1)“ひとづくりでまちづくり”を念頭に置いた地域の教育力向上
1. 地域の教育力向上のための運動実践
2. OMOIYARIの心あふれる青少年の健全育成

(2)地域の架け橋となる宗像学による地域力向上
1. 次世代に残していくべき風土づくりのための運動推進
2. 行政への市民参画と広域行政としてのビジョン策定

(3)JAYCEEの覚悟を踏まえた会員の育成と交流
1. 会員の拡大およびOTONANOSENAKAを持った会員の育成
2. 世界平和につながる国際間の友情の確立

(4)市民の意識変革につながる効果的な組織づくりと市民に向けた事業発信
1. 円滑なJC活動への支援体制の確立
2. 広報を活用したJC運動の伝播・発信

 

 

 
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